そして、シネクリシェ2.0へ[ブログ移転のおしらせ]

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 突然ですが、このたびブログを移転することとしました。
 移転先はこちらです。

 このブログを立ちあげてから3年が経ちました。
 この間数多くの方からご支援いただいて今日まで至りましたが、ここらでブログを更改し心機一転を図ることにしました。

 移転先は、映画に留まらず幅広い話題を扱っていく予定です。
 したがって新名称は、バージョンも新たにということで「シネクリシェ2.0」と命名しました。バージョンアップにふさわしく、さらなるパワーアップに努める所存です。

 ということで、こちらにおきましては長いことご愛読ありがとうございました。
 そしてまた、新ブログにおきましても従来同様ご愛顧たまわりますようお願い申しあげます。

大いなる陰謀

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 相当に本格的かつ硬派な政治映画であり反戦映画でもあります。9.11やその後のアメリカを描いたり行政を批判したりした作品は枚挙にいとまありませんが、これほどまでに明確な直球勝負をしかけた作品も数多くないでしょう。

隠し砦の三悪人(樋口真嗣監督)

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 『椿三十郎』につづく黒澤映画のリメイク第2弾といったところでしょうか。
 森田芳光監督版『椿三十郎』が原典版を忠実に再現したのに対し、樋口真嗣がメガフォンを取った本作は、前作『日本沈没』と同様に大幅に改変。後半3分の2は別の話といってもいいくらい原典離れしています。
 それでありながら、原典版をオマージュするような形でところどころに引用のような部分が多見されるのが面白く、殊に原典版で有名な「裏切り御免!」のセリフも上手にアレンジされて使われています。
 自分は、改変しなければリメイクする意味がないという立場なので、このことは大いによしとします。

バンテージ・ポイント

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 久々に観た本格サスペンス。
 スペインを舞台とした米国大統領狙撃と爆破テロを巡り、当事者やその周辺の人々8人の視点からこの事件を描いた作品です。

砂時計

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 ヒロインの少女時代を夏帆が務めていることと、ほとんどが山陰を舞台にしていることもあって、『天然コケッコー』を連想させられるところがあります。
 さらにいえば成人後の杏を松下奈緒が演じていることもあり、『未来予想図~ア・イ・シ・テ・ルのサイン~』を思わせるところがあります。

 本作は二部構成となっており、前半が少年少女時代の恋、後半が成人後の二人という図式の恋愛映画です。
 前半部で主人公杏は父親の借金が原因で東京から母親の実家がある島根に移り住むことになった上、母親の自殺に見舞われるなど不幸の嵐に襲われますが、友人の大悟に支えられ、それがいつしか愛に発展していきます。
 まさに、幼い愛というにふさわしい展開でした。

 ところが後半になると、とたんに興が削がれます。
 盛上がりに欠けるということもさるこさながら、やたらに繰返しやフラッシュバックを多用していますが、あまり効果を上げているとも思えません。
 このことは、傑作『秒速5センチメートル』と比較するとよくわかります。
 あの作品も、第1部・第2部が少年少女時代、第3部が成人後という構成でしたが、かんじんの第3部を極端にシンプルにし、その間の経緯を映像だけで説明していくという技が功を奏し感銘が深まっただけでなく、その前段階である第1部・第2部も引き締まりました。

 ラストは途中からほぼ想像がつく結末となりました。この結末をひねれば、少しは感銘も残ったかもしれません。
 ということで、この作品1本で『天然コケッコー』『秒速5センチメートル』『未来予想図~ア・イ・シ・テ・ルのサイン~』3本分が愉しめる1作ということかもしれません。

クローバーフィールド/HAKAISHA

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 内容としては、謎の怪獣(?)にマンハッタン島が襲われるというごく平凡なパニックものですが、全編ホームビデオという形態を取っているところが特異なところ。
 精緻な撮影ならばともかく、このようないかにも素人が撮影したという形態をとりながらの特撮はかえってむずかしかったのではないでしょうか。
 特撮パニックものも、同じような作品が次々にくり出されるから食傷気味ということで、このようにひとひねりしたのでしょう。

 いちおうは狙い通りの出来栄えになってはいますが、画質の悪さに加えてブレボケのオンパレードということで、観ていて非常に疲れてくるのは確か。
 あまりにスクリーンに集中していると、車酔いすることがあるかもしれません。ポスターにはその旨注意書きがありましたけど。

 『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のような、純粋な低予算映画とは異なり、映像はともかく、よくみるとキチンとした(?)シチュエーションで撮影されていました。
 この作品の、マトモな映像バージョンというのが存在すれば、比較してみると面白いかも。

 ホームビデオによる撮影にもかかわらず、音響はなぜか実にクリアで重低音の迫力満点というのがご愛嬌でした。

潜水服は蝶の夢を見る

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 ファッション雑誌の編集長として仕事にも遊びにも颯爽と生きてきたジャン=ドミニク・ホビーは、ある日突如として重度の脳梗塞に襲われ、左眼のまぶた以外の身体の自由をすべて奪われる……。

 重度の脳梗塞により全身の自由を奪われた主人公は、最後の表現手段である瞬きを使い必死にコミュニケーションを絶やさず、ついには書籍まで著します。
 もっとも残念なことに、主人公はあたかも上梓を待つかのようにこの世を去ることになるのですが……。

 一見すると、多くの人がご指摘されているように『海を飛ぶ夢』とテイストのよく似た作品ですが、よくみると訴えようとしているものはかなり異なります。
 3年前に観たスペイン映画は尊厳死を描くように見せて、その実展開しているのは痛烈な宗教(カトリック)批判でした。これに対し、本作は生や死の尊厳などではなく、生そのものを描こうとしているのです。
 だからむしろ、同じように全身の自由を奪われたことをネガティブ一辺倒に描いた『ミリオンダラー・ベイビー』の対極にある映画といってもいいかもしれません。
 もっとも『ミリオンダラー・ベイビー』は、身体障害そのものを描いた作品ではありませんけど。

 実のところこの作品、自分にとってそうとうに重い作品でした。
 私事ながら、母方の親戚は母をはじめとして祖母や伯母など多くの親戚が脳梗塞に見舞われてきました。
 このような遺伝性のみならず体質的にもコレステロールが常に高いなど、自分も将来的に脳梗塞を患う可能性がきわめて高い不安がつきまとわっているからです。
 この主人公は脳梗塞の中でも相当に重症であり、映画の中でもきわめてレアケースな症状である旨説明がされていますが、それにしても他人事とは思えませんでした。
 特に前半部の、主人公の一人称による描写は、人一倍重苦しく感じられました。

 一見奇妙なタイトルですが、"潜水服"を着せられたような身体の不自由さと、はそれにもかかわらず自由な空想力の象徴ともいえる"蝶"からきているようです。

ジャンパー

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 主人公は、ごく平凡な学生だが、ふとしたきっかけからテレポーテーションの資質に目覚め、これを悪用して大金持になる……。
 これだけでは映画にならないので、映画は、テレポーテーション能力を持つ"ジャンパー"をつけ狙う謎の集団"パラディン"との対決という形を取っています。

 したがって、ストーリー自体はそれほど凝ったものではありません。
 CGの面白さと世界規模でのロケを目玉にするということに徹しており、あくまでも映像を楽しむ映画ということに徹しているものでしょう。

 ということで、淡泊な印象しか受けませんでしたが、エンディングの感じからして、シリーズものの第1作ということらしいです。まずはお手並拝見というところでしょう。

ヒトラーの贋札

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 ナチスに捉えられたユダヤ人の話。とはいっても、ホロコーストものとはひと味違い、偽札づくりの才能を買われ、国家ぐるみの偽札づくりに動員されるというもの。
 収容所暮しとしての待遇は決して悪くないものの、ナチスの先棒担ぎに荷担しなければならないこと、荷担しなければ死が待っていることの葛藤を描こうとしたものです。
 主人公は内面にこういったジレンマを抱えながらも、生き残ることに必死になっている姿を描こうとしたのでしょうが、それが果してどこまで描き切れたのかは首をかしげざるを得ません。

 むしろこの作品の両端で語られている、戦争が終り解放されてからの心の後遺症の方が印象に残りました。
 隠し持っていたナチスに作らされた偽金でカジノで放蕩。しまいにはすべて焼き捨てることにより、主人公の内面を描こうとしたものですが、むしろこちらの方がより心にしみるものがありました。

 テイストとしては5年前に公開された『戦場のピアニスト』に近いものがあります。あの作品は、ユダヤ人とナチス将校の交流がメインでした。
 こちらは主人公の内面を描こうとした作品であり、佳作であることは認めますが、さりとてアカデミー賞の外国語映画賞を受賞するほどの作品かどうか......。

歓喜の歌

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 "笑いと涙の......"などというキャッチフレーズはごくありふれていますが、この月並な文句がこれほどふさわしい映画も他にないでしょう。

 とはいっても、話はかなり身につまされるものでした。
 文化会館の予約に、うっかりダブルブッキングをしてしまったというもの。
 さぞや間抜けな公務員よと嗤う人も多いでしょうが、こういうミスは意外とうっかりやりかねないもの。あるいは、こういうトラブルと隣り合せにいる不安を持っている人も非常に多いのではないでしょうか。
 そしてその影響も、(さすがに人命に関わるようなものではないとはいうものの)この映画のように非常に大きいものがあり、組織の信用問題にまでなりかねません。
 それゆえに、前半部はあまり他人事とは思えませんでした。

 後半は、災い転じて福となすというように、トラブルも対応によってはむしろよい結果を生みだすこともあることの
 たしかにこの主任のトラブルに対する初期対応は最悪でしたが、トラブルの解決を通じて2つのコーラスグループの融和が図られるだけでなく、この主任もまた人として成長していくという話です。

 今年の日本映画の中でも、もっとも印象が深い作品となることはまちがいないでしょう。