『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』

 人気シリーズも本作で4作目、スピンアウト作品を含めると6作目となりますが、本作でいよいよ最終作となりました。

 このシリーズかなり気に入っていました。
 当初は、テレビドラマの映画化ということで、正直いってあまり期待はしませんでした。
 しかしながら、1作目は予想外の傑作であり、それに続く2作目も決して出がらしなどではなく、しっかりした作りで十二分に楽しむことができました。

 金をかけた製作や演出もさることながら、脚本の出来がすばらしく、同時に進行する3つの事件が錯綜する展開をうまくまとめることができたからでしょう。
 その後、警察もののドラマや小説のシリーズものがたくさん生まれたのも、本シリーズの成功が機になったのではないかと思われます。
 しかしながら、たんに警察の組織をていねいに描いたというだけでなく、かなりユーモラスに振ったトーンで、それほど構えずに観ることができた希有のシリーズでした。

 またスピンアウト作品としての2作もなかなかのものでした。
 こちらも単なる余興のようなものではなく、単独の作品としてもきわめてしっかりした仕上がりになっていました。
 ということで、今までの5作について、観た当時の感じ方を単純化してまとめると次のようになります(年月は公開月ではなく、鑑賞した年月です)。

×作目作品名鑑賞年月印象
1作目『踊る大捜査線 The Movie』'99.1
2作目『踊る大捜査線 THE MOVIE2』'03.9
スピンオフ作品『交渉人真下正義』'05.5
『容疑者 室井慎次』'05.9
3作目『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』'10.7
 今回は、シリーズもこれが最終編ということで、実のところそれほど大きな期待はせずに臨みました。

『るろうに剣心』

 時代物といっても、コミックの映画化ということで、それほど大きな期待もせず臨みました。
 しかしながら佐藤健さんの活躍ぶりが予想以上であり、楽しんで観ることができました。
 またその脇を固める俳優さんたちも、名優香川照之さんはいうにおよばず、 江口洋介さんや敵役の吉川晃司さんもキャラが立っており、十二分に楽しむことができました。

『最強のふたり』

 片や大富豪の障害者に対し、片やそれを介護する側はスラム出身で前科者の失業者。片や美術やクラシック音楽の愛好家で、片やブラックミュージックファン。片ややや陰性に対し、片や全面陽性。そして片や気むずかしい性格に対し、片やKYというか無神経というか、ざっくばらんな性格。
 このような正反対の二人が出会うとシチュエーションの妙味を狙ったものでしょう。

 映画としても、障害者の介護という暗くなりがちな作品を、きわめて明るくユーモアあふれる描き方をしていました。
 その明るさの原動力は、ドリスのキャラクターとそれを演じたオマール・シーにあるといえます。
 作品に決定的な明るいトーンを与え、作品全体を引っ張った功績は彼にあるといっていいでしょう。

『外事警察 その男に騙されるな』

 この十数年ほど、日本の警察もののレベルが非常に高くなっています。
 フジテレビの「踊る大捜査線」シリーズが引き金でしょうか。テレビドラマの映画化といっても、脚本がきわめて精緻なこともあって、娯楽映画として十二分に堪能できました。
 これに刺激されたのか、小説でも佐々木譲著「警官の血」や今野敏著「隠蔽捜査」シリーズなど、きわめて質の高い作品が発表されています。
 映画でもテレビ朝日のドラマ「相棒」シリーズが同じように映画化されました。失礼ながら二匹目のドジョウを狙ったものと高をくくっていたところ、予想外に質の高い作品に仕上がっていました。「踊る大捜査線」シリーズと同様に、脚本が実にていねいで練られていたからでしょう。

『ダークナイト ライジング』

 現在活躍中の若手映画作家の中でも、クリストファー・ノーランはまちがいなくトップクラスに位置していますが、その新作が公開され前評判も非常に高いので、大いに期待して臨みました。
 とはいうものの、前作『ダークナイト』が非常に完成度の高い傑作であり、同作で悪役のジョーカーを演じたヒース・レジャーが歴史的といっていい名演だったこともあって、その続編を作ることなど非常な困難だろうという想像から、わずかな不安もありました。

 結論をいうと、たしかに本年を代表する傑作であることは間違いありません。
 とはいうものの、『ダークナイト』と比較してしまうと、前作を凌駕するほどパワーある作品だったといえるのかはやや疑問でした。

『ロボット』

 インド以外の映画も含め、久々のバカ映画大作? ということで鑑賞しましたが、ほぼ予想範囲内の面白さと出来映えでした。

 インド映画といえば、1998年に『ムトゥ踊るマハラジャ』を観たのと、それ前後に関連していくつかの公開された作品を観て以来です。
 悪役のロボットと戦う後半部を、前半部とをきれいに切り離してある構成は非常にわかりやすく、また格闘シーンや恋愛など実に巧く絡み合わせていて、まとまりのよい作品に仕上がっています。
 もっとも、後半部はよくあるハリウッドCGI大作映画のパロディという感じなので、前半部に比べてやや減速した感は否めませんでした。

『アーティスト』

 予告編から想像していた通りの、おおよそ予想範囲内の内容でしたが、出来映えは予想以上でした。
 セリフがないという制約にもかかわらず、よくぞこれだけの内容に仕上げたものと感心しました。

 サイレント映画との触れ込みですが、トーキーになる場面が2カ所あり、厳格にいうとパートトーキーといったところでしょうか。
 この2カ所のトーキー化も巧く、作品に対しかなりの効果を収めています。

『しあわせのパン』

 北海道の田舎でパンカフェを営む尚(大泉洋)とりえ(原田知世)の水縞夫婦を軸として、そこに訪れる客の人間模様を描いた作品です。
 実質的には3つの短編からなるオムニバス作品ですが、それぞれ舞台が夏・秋・冬となっており、登場人物も若い男女・親子・老夫婦と、あたかも季節の移ろいに合わせるかのようになっています。

 これらの登場人物がみずみずしく描かれていることもさることながら、本作の隠れた見どころは、建物や料理などの小道具の数々でもあります。センスの良さがすみずみまで行き渡っています。
 とりわけ食器がすばらしい。無地を基調とした地味でいながら実にセンスのいい良質なデザインが、水島夫婦によって提供される数々の食事に華を添えています。
 主人によって焼かれるパンをはじめとした料理の味は、本来は映画では直接表現できるものではありませんが、このような瀟洒な食器に盛りつけられることによって、映像だけからも質素でありながら純朴な味を感じさせてくれます。

『ヒミズ』

 アメリカでは"9.11以降"という言葉が生まれたとおり、9.11を直接扱ったり、そうでなくとも間接的な影響が感じられる作品がこの10年ほどの間に数多く見受けられました。

 さて本作ですが、映画の中では明言されていませんが、登場人物たちは3.11によって被災した人たちという想定がされています。
 その被災した人たちを受け入れたのが、主人公の中学生の住田(染谷将太)。彼はろくでもない父親と母親を持つという環境に置かれています。
 その一方で暗に対する明という形で彼に思いを寄せる茶沢恵子(二階堂ふみ)の存在が語られていますが、しかしながら彼女の家庭環境も決して恵まれたものとはいえません。